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入門

今日から使えるTRIZ 16ステップ

このプロセスはTRIZが利用している思考技術の中で最も特徴的な、「理想」「矛盾」「進化のパターン(ここでは発明原理という形で)」「資源」を実践の中で活用していただく目的で、管理人が開発したものです。

イントロダクション

プロセスの概要

  • このプロセスはTRIZの考え方を応用しています
    • TRIZの基礎となっている考え方
      • 人工的な仕組み(製品、技術、構造、組織、制度など。以下システムとします)が発展してきた歴史では限られた数の同じ形の変化が様々な分野で繰り返えして起きてきました
      • こうした変化の形を理解して、新しいシステムの開発や既存のシステムの改良に織り込めば開発・改良に必要な時間を大きく短縮することができます
    • 発明原理[補足1]
      • 繰り返される変化の形は、当初技術的な発明の歴史の分析を通じて抽出されたため、発明原理と名付けられました
      • 発明原理は人々が無意識のうちに使い、結果として有効だということがわかった改良アプローチのエッセンスです
    • 方法体系としてのTRIZ
      • 発明原理を上手に使いこなす前提として、先入観を取り去って自分の直感を自由に働かせるようにすることと、今何が求められているのか、開発や改良を実現するための資源として何を利用することができるのか、置かれている状況を正しく理解することが必要です。TRIZはこうした必要を満たす思考支援ツールを含んだ方法の体系です
  • このプロセスは発明原理を中心とするTRIZの方法体系を分野を問わず現実の様々な問題に適用して解決策を発見する作業をサポートするものです。汎用性を失わない範囲でできるだけシンプルにしました

問題に取り組むプロセス

  • 実質的な内容はStep 1.1. などのように2桁以上の数字で示した16のStepだけです。仕組みがわかれば簡単な手順ですので、グループ活動でブレーンストーミングをしながらアイデアをまとめるなどの形で活用してください

作業の準備

  • 問題と取り組む過程ではできるだけ丁寧に記録を残すようにしましょう。つまらないように思われる「気づき」も解決策のヒントとなることがよくあります
  • こうした気づきを含めて、検討の過程で得られるアイデアは1つのアイデアごとに1枚のカードに記入しておくと解決策の検討作業がやりやすくなります
  • カードの例:
    • このカードはアイデアを記録し、後で評価する目的で使えるようになっていますが、それにとらわれず自由に活用してください。必要がなければ、すべての項目を埋めなくても結構です。なお、提案者、アイデアが出た時・状況、使った発明原理などの項目は得られたアイデアの眼目を忘れないための参考情報として利用します
提案者:
アイデアが出た時・状況:ステップ・発明原理:評価
 
文章: 有効性:
 
実現可能性:
図・ポンチ絵:  
経済性・コスト/効果:
 

Step 1. 問題・課題・理想

1.1. 当初の状況

  • 始めに、なんらかの不都合を感じている問題の認識を、はっきりと特定された課題へと捉え直します。課題を正しく把握することは、問題を部分的に解決することと同じです。なぜなら、間違った課題と取り組むことは避けられるからです
  • 作業:次の3つの質問の答えを文章にして書き留めます
  • 不都合の内容、目標、制約条件を含んだ状況認識を「課題」と名付けます
    1. どのような不都合と直面していますか?
      • なくて困ること、もっとよくしたいこと、取り除きたいこと、もっと穏やかにしたいことなどを含みます
    2. 状況を変化させてどのようにしたいのですか?
      • つまり目標はどういうことですか?
    3. 現在の状況を変化させる上でどんな制約条件がありますか?
      • 変化させて良いことといけないこと、使える手段と使えない手段、コストや時間の制約などについて、数値化できる制約条件は数値で確認しておいてください
ケーススタディー:コモディティーエクスチェンジ

状況の説明

  • あなたは商品交換所の経営者です
  • 商品交換所の会員は自分の望む商品を登録して交換所で売買することができますが、交換所に一定の比率の手数料を払わなくてはなりません。会員は交換所を通して必要な商品の売り手・買い手を見つけることができますが、登録した商品は必ず交換所を通して売買する義務を負います
  • 交換所の手数料の率は高くはないのですが、会員の中には手数料の支払いを逃れようとして交換所を通さずに取引(闇取引)を行う人がいます
  • 交換所ではこうした取引を監視していて、発見した場合には高額の罰金を取り立てる制度もあるのですが、闇取引はなくなりません
  • 大勢の会員が闇取引を行うようになると、交換所としての経営が成り立ちません
ケーススタディー

1.1. 当初の状況

  • 始めに、なんらかの不都合を感じている問題の認識を、はっきりと特定された課題へと捉え直します。課題を正しく把握することは、問題を部分的に解決することと同じです。なぜなら、間違った課題と取り組むことは避けられるからです
  • 作業:次の3つの質問の答えを文章にして書き留めます
  • 不都合の内容、目標、制約条件を含んだ状況認識を「課題」と名付けます
    1. どのような不都合と直面していますか?
      • 闇取引が無くならない
    2. 状況を変化させてどのようにしたいのですか?
      • 会員が闇取引をしなくなること
    3. 現在の状況を変化させる上でどんな制約条件がありますか?
      • 会員が交換所を嫌うようになることは避けなくてはいけない

1.2. 理想的な状態

  1. 問題を解決するということは現在の状況を理想的な状態に近づけることです
  2. 現実的には考えにくいとしても、一番都合の良い究極的な理想について考えてください
  3. 次の文章の「不都合」のところにStep 1.1.で書き留めた質問1の主旨を、「目標」のところに質問2の主旨を入れたものが究極的な理想のイメージです
    • 何も変化しないのに目標が達成された!
      • 〈Step 1.1. 質問2の主旨〉
    • 何も変化しないのに不都合は無くなった!
      • 〈Step 1.1. 質問1の主旨〉

注:このように考えてみる理由は私たちが本当に望むことは何かはっきりさせるためです。こう考えるだけでは、不都合が無くなってしまうわけではありませんが、目標と目標を達成するために使う手段とを混同することが避けられます

ケーススタディー

1.2. 理想的な状態

  1. 問題を解決するということは現在の状況を理想的な状態に近づけることです
  2. 現実的には考えにくいとしても、一番都合の良い究極的な理想について考えてください
  3. 次の文章の「不都合」のところにStep 1.1. で書き留めた質問1の主旨を、「目標」のところに質問2の主旨を入れたものが究極的な理想のイメージです
    • 何も変化しないのに目標が達成された!
      • 闇取引は自然に無くなった!
    • 何も変化しないのに不都合は無くなった!
      • 会員が自発的にすべての売買を交換所の中で行うようになった!

1.3. 現実の状況での理想

  1. 現実の制約の中での究極の目標は何か考えてください。問題が解決されたら、どうなっているのでしょうか。次の3つの観点で考えてください:
    • 経済的な観点
      • コストの低減、売上の増加、市場シェアの向上、etc.
    • 技術的な観点
      • 製品の改良、顧客満足度の向上、生産の増加、 etc.
    • 人(社会・心理)的な観点
      • 社員のやる気が増す、(地域の)コミュニティーとの関係が(より)良くなる、 etc.
  2. 成功の判定基準
    • 問題と取り組んでいる目標を明確にするために成功と言えるか否かの判定基準を決めてください

注:これ以降の考察のどの段階でも、この判定基準を満足する方策案が見つかったらStep 6. アクションプランに進んで結構です

ケーススタディー

1.3. 現実の状況での理想

  1. 現実の制約の中での究極の目標は何か考えてください。問題が解決されたら、どうなっているのでしょうか。次の3つの観点で考えてください:
    • 経済的な観点
      • ほとんどの会員がすべての取引について手数料を支払ってくれること
    • 技術的な観点
      • 目標を達成するために大きなコストがかかかること(設備、組織、制度)をする必要がない
    • 人(社会・心理)的な観点
      • 会員が喜んで手数料を支払ってくれること
  2. 成功の判定基準
    • 通常取引に対する闇取引の比率を5%以下とする
    • 目標を達成する上で必要なコストが現在行っている闇取引監視体制のコストを上回らないこと

Step 2. 状況・着眼点

2.1.1. 実態調査

  • 現実の問題解決の出発点は実際の状況を知ることから始まります
  • 実態
    • 課題に取り組もうとする人は不可能な理由がない限り自分の身体を使って次の点を確認してください。不可能な場合には極力以下の各項に近い形を自分で体験するようにしてください
      1. 現場
        • 問題に直接関わりのある現場に行ってみる
      2. 現品
        • 問題に関わりのある「物」を自分で見、身体で感じるようにする。可能ならば、その物が通常機能している状態も見、感じるようにする
      3. 現人
        • 問題を目撃した、あるいはなんらかの形で問題を体験した人(たち)と直接会って話をする
ケーススタディー

2.1.1. 実態調査

  • 現実の問題解決の出発点は実際の状況を知ることから始まります
  • 実態
    • 課題に取り組もうとする人は不可能な理由がない限り自分の身体を使って次の点を確認してください。不可能な場合には極力以下の各項に近い形を自分で体験するようにしてください
      1. 現場
        • 実際に取引が行われる現場に行ってみる
      2. 現品
        • 問題に関わりのある「物」を自分で見、身体で感じるようにする。可能ならば、その物が通常機能している状態も見、感じるようにする=商品交換所で取引される商品を見、どのように使われるか学ぶ。闇取引の実態を体験的に研究する
      3. 現人
        • 問題を目撃した、あるいはなんらかの形で問題を体験した人(たち)=交換所の(様々なタイプの)会員、闇取引の監視を担当している人たちと直接会って話をする

2.1.2. 整理

  • 整理整頓は状況の理解を大きく助けてくれます
  • 5Sは覚えやすくて便利な標語です。情報についても援用可能です
    • 整理
      • 仕事が行われる場所にあるすべての物を次の観点からチェックする:必要な物だけが配置されていること。それ以外の物は保管場所に仕舞うか、売却・廃棄すること
    • 整頓
      • 仕事が行われる場所に配置されたすべての物が所定の位置にあること。常に取り出して使用可能な状態になっていること
    • 清掃
      • 仕事が行われる場所の清掃が常に行き届いていること。計画に従って清掃を行うこと
    • 清潔
      • 標準を作って、以上の3つのSが維持されるようにすること
      • 規律を維持すること。標準を守ることが習慣になるようにすること

2.2. 着眼点

  • 課題を達成するときにたどる道筋は3つしかありません[補足2]。始めはそのうち2つについて考えます
  • 問題とそれに関係する様々なモノ(人や理念なども含む広い意味で)について考えてみましょう。もし魔法のランプがあったら、魔人に何を頼みますか?
  1. 何をより良くしたいですか? 現在よりももっと良く(強く、大きく、確実に)したい有益機能[補足3]を探してください
    • 有益機能をリストアップしてください
  2. どんな有害機能[補足4]を軽減(排除、回避)したいですか? 軽減(排除、回避)したい有害機能を探してください
    • 有害機能をリストアップしてください

注:現在の状況に含まれる有益機能をより大きくするか、有害機能をより小さくすれば問題は解決されるかもしれません。この2つの道筋から課題達成の具体的アプローチを考えます

ケーススタディー

2.2. 着眼点

  1. より良く(大きく、強く、確実に)したいことは何ですか?
    • 会員が商品交換所で取引すること
    • 会員が商品交換所に手数料を支払うこと
    • 会員が商品交換所に取引を申告すること
  2. 軽減したい有害な作用は何ですか?
    • 会員が商品交換所への取引の申告をさけること
    • 会員が闇取引を行うこと
    • 紛争解決にかかるコスト
    • 闇取引監視システムのコスト
    • 闇取引の監視に必要な要員の数

Step 3. 発明原理

3.1. 有益機能の改良

  • 下にリストされているのは有益機能を改良するうえで有効な発明原理です。Step 2.2.の1でリストアップした有益機能を改良する目的を頭において発明原理一つ一つについてブレーンストーミングを行ってアイデアを探してください。見つかったアイデアは1つ1枚のカードに記入するなどして蓄積してください
    1. 取り除く
      • 考え方:課題の背景にある状況から何かを取り除きます
      • 例:営業スタッフに期待することは結果ですから、彼らの就業時間枠を取り除きます
    2. 使い切り
      • 考え方:常にあることが普通と思っている何かを必要な時だけ使えれば持っていなくても良いと考えます
      • 例:社用車は買わない。必要な時にハイヤーやタクシーを使う
    3. 汎用化
      • 考え方:1つの用途だけを考えてきた何かに追加の役割を持たせることを考えます
      • 例:社有車はすべて共用として台数を減らす
    4. 専用化
      • 考え方:必要な役割のどれかをシステムの要素の1つに専用で担ってもらうことを考えます。複数の要素にそれぞれ別の役割を専用で担ってもらう場合も含みます
      • 例:革新的な新商品は専門の販売チームを作って新しい売り方を作らせる
    5. 対応
      • 考え方:何かと何かとの間で色、形、大きさ、タイミング、リズム、性格などについて対応関係を持たせることを考えます
      • 例:販売店の地域特性に対応させて、店に置く商品を選択する
    6. 柔軟化
      • 考え方:動かないところを動くように、直線・平面・立方体などを曲線・曲面・不定形に変えます。変化しないところが変化するようにします
      • 例:商品販売の都度情報を収集し、棚に補充する商品を柔軟に変化させる
    7. 部分的作用
      • 考え方:望ましい状態を一度に達成しようとしないで、2回あるいは複数回に分けて徐々に達成することを考えます
      • 例:高品質のソロバンの価格を学校の予算に合わせるために、組み立て前のバラバラの部品キットで納入する。(生徒に自分で組み立ててもらう)
    8. 過剰作用
      • 考え方:望ましいことを一度に達成しようとしないで、一度やりすぎの状態にしてから、あらためて望む状態に戻すことを考えます
      • 例:必要以上の量の素材を購入することによって、不測事態が生じた時のそなえとする
ケーススタディー

3.1. 有益機能の改良

  • 下にリストされているのは有益機能を改良するうえで有効な発明原理です。Step 2.2.の1でリストアップした有益機能を改良する目的を頭において発明原理一つ一つについてブレーンストーミングを行ってアイデアを探してください。見つかったアイデアは1つ1枚のカードに記入するなどして蓄積してください
    1. 取り除く
      • 全会員に会員間取引用の端末を配布して交換所の標準条件を基準として簡単に安心に取引ができるようにする。(会員間の契約手続きの多くを取り除く)
    2. 使い切り
      • 取引監視システムを購入しないで出来合いのシステムを借りる
    3. 汎用化
      • 会員間の取引に(会員がよろこぶ)何か他の機能を持たせる
    4. 専用化
      • 交換所の機能の一部を専用化(一部の商品に特化させるなど)して多数の専門交換所を作り会員の数を増やす
    5. 対応
      • 交換所の仕組みを一部変化させて会員のニーズにより良く対応するようにする
    6. 柔軟化
      • 交換所を改組してオンライン市場に変える(どんな良い効果が期待できるか不明?)
    7. 部分的作用
      • 交換所の機能を分割して会員は売るだけ、あるいは買うだけの交換所にする
    8. 過剰作用
      • 一旦会員になると(登録していない商品を含めて)すべての取引はこの交換所でしかできない仕組みにする

3.2. 有害な作用への対策

  • 下にリストされているのは有害機能を軽減・回避・排除するうえで有効な発明原理です。Step 2.2.の2でリストアップした有害機能を回避・排除・軽減するという目的を頭において発明原理一つ一つについてブレーンストーミングを行ってアイデアを探してください。見つかったアイデアは1つ1枚のカードに記入するなどして蓄積してください
    1. 原因を取り除く
      • 考え方:有害機能の原因を引き起こしているそのものを取り除くことを考えます
      • 例:ファーストフードレストランでは事故を未然に防ぐために包丁を使わないところがあります
    2. ワクチン
      • 考え方:本当に不都合な影響を取り除くために、前もって許容可能な不都合を受け入れておくことを考えます
      • 例:不測の事態の影響を少しでも小さくするために保険をかけます
    3. 隔離
      • 考え方:有害機能に関係の深い何かを他のものと切り離すことによって悪影響が及ばないようにします
      • 例:外部の人を簡単に見分けられるように社員は制服を着て名札をつけます
    4. 反作用
      • 考え方:悪影響が生じるとその悪影響と反対方向にはたらく何かの作用が自動的に働くようにあらかじめ準備しておきます
      • 例:クレームが事業に与える悪影響を最小限にするためにあらかじめカスタマーサービス部門を作っておきます
    5. 向きを変える
      • 考え方:都合の悪い作用が働いても、傷つきやすいものに作用の悪い影響が及ばないように、影響の方向を別の方にずらすことを考えます
      • 例:職場の床にゴミが散らばらないようにゴミ箱を多数配置しておきます
    6. 対応関係を避ける
      • 考え方:避けられない作用が守りたいものに悪い影響を与えないように、何かと何かとの間の色、形、大きさ、タイミング、リズム、性格などが一致(類似・相似)しないようにして作用あるいは影響が小さくなる、あるいは感じられなくなるように考えます
      • 例:会社の幹部には性格や趣味の異なる多様な人たちが集まるようにします。会社の方針に柔軟性が生ずることが期待されます
    7. 修復
      • 考え方:不都合なことが起きた時に、何らかの作用が自動的に働いて、不都合な状態が修復される仕組みを考えておきます
      • 例:万一の場合にお互いに助け合えるように同業他社と持ちつ持たれつの関係を作っておきます
    8. 逆転
      • 考え方:空間、時間、関係、良い悪いなどについて通常の理解と逆な考え方をすることによって、悪影響を避けるようにします
      • 例:自分の失敗に学ぶ。競争相手を利用して市場規模を拡大する
ケーススタディー

3.2. 有害な作用への対策

  • 下にリストされているのは有害機能を軽減・回避・排除するうえで有効な発明原理です。Step 2.2.の2でリストアップした有害機能を回避・排除・軽減するという目的を頭において発明原理一つ一つについてブレーンストーミングを行ってアイデアを探してください。見つかったアイデアは1つ1枚のカードに記入するなどして蓄積してください
    1. 原因を取り除く
      • 手数料の徴収を止める
    2. ワクチン
      • 交換所の収入源を手数料ではなく会費にする
    3. 隔離
      • 手数料のベースを実際の取引額ではなく期間ごとの計画取引額とする
    4. 反作用
      • 闇取引に対する罰則を重くする
    5. 向きを変える
      • 取引の申告をしないことが会員にとって不利となる仕組みを作る(ただし、どうやって?)
    6. 対応関係を避ける
      • 会員が取引の申告をしないことが手数料の減少に対応しないようにする
    7. 修復
      • 闇取引による収入減を補うために新しい会員を勧誘する
    8. 逆転
      • 取引をしてから申告するのではなく、申告をしてから取引をする規則に変更する
      • 会員ではなく商品交換所が取引を行って会員に報告するように制度を変える

Step 4. 資源

4.1. 基本的な資源

  • 与えられた状況を理想的な状態に近づけるには、必ずなんらかの資源を使って状況を変化させなくてはなりません。こうした資源は課題の背景にある状況のなかで容易に見つかることもありますが、なかなか見つからない場合も少なくありません
  • 課題解決に役にたつ資源を探すうえで有効な切り口のリストを下記します。Step 2.2.で考えた着眼点を頭に置いて1つ1つの切り口についてブレーンストーミングを行って利用可能な資源を見つけてください。まだ使われていない資源、あるいは、気づかれていない資源を見落とさないようにしてください
  • 課題達成につながる可能性をもった資源に気づいたら、これまでのアイデアに追加してください
  • 補足:このプロセスではStep 3.で見落としたアイデアに気づく機会を増やすために、まずStep 2.2.で考えた着眼点を念頭において資源を探すことを優先していますが、Step 4.1.と次のStep 4.2.の資源のリストはStep 3.で発見したアイデアを実現する資源をさがす目的でも使うことができます。余裕があれば、両方の観点から資源を探してください
    1. 空間の資源
      • 考え方:まだ使われていない空間(線・面を含みます)、使えないと思われている空間、見落としがちな空間を利用することを考えます。通常何もないと思っている空間(真空、泡、裏面、側面)は見落とされがちです
      • 例:新しい市場に進出する時には、自分の市場になる可能性のあるニッチな市場を見つけるようにします
    2. 時間の資源
      • 考え方:通常視野に入れている時間帯の前の時間、後の時間、休止時間の活用。リズムの観点、同じ時間を二重に利用する視点などから使える時間帯を探します
      • 例:自分の商品の性能が販売後にさらに向上するようにします。(ユーザーにモニターしてもらう。ユーザーの使い込みによって性能が向上する、など)
    3. エネルギー/力(人や社会の考え方・影響力、経済的などの力を含む)
      • 考え方:必要な働きを生み出してくれる力の源を探します。物理的な力としては機械的な力、振動、熱、化学反応、電気、磁気、電磁波、放射など、社会的な力としては影響力、やる気、世論、政治・経済・社会的要請などが考えられます
      • 例:自社の内部から発信されるすべてのeメールに広告を入れる(一つ一つは小さな力を利用する)
    4. 物質
      • 考え方:物質の資源の中で見落としがちなものは、仕掛かり品、製品、廃棄物、競合品、空気・水・土などの当たり前すぎるものなどです
      • 例:窓の外に植物を這わせて室内の温度を下げる
    5. 情報
      • 考え方:情報が資源だということは誰でも知っていますが、見落とされがちなのは様々なものが絶えず発信している情報(例えば人の体温、脈拍など)、都合の悪い情報、嘘、隠蔽などです
      • 例:欠陥品を利用して不具合の原因を見つけ出す
    6. モノや要素(人、社会的、経済的などの)を変化させて利用可能にする
      • 考え方:資源を探す時には現在あるそのままの形で利用する観点だけでなく、あるものを何らかの形で変化させて利用することも考えてください
      • 例:社員の声に耳を傾けて持てる力をすべて引き出す
ケーススタディー

4.1. 基本的な資源

  • 資源
    • 会員が商品交換所で取引することを増やすために利用可能なモノ
    • 会員が商品交換所への取引の申告をさけることを減らすために利用可能なモノ
  1. 空間の資源
    • 交換所の建物をホテル、レストラン、カフェ、会議室、貸しオフィスなどを含むコンプレックスに変えて、会員たちが多くの時間を交換所で過ごし、そこで取引を行うことが当然と感じる環境を作る
  2. 時間の資源
    • 会員が実際に取引を行う以前に会員の状況を調査して、取引する量を予測しておく
  3. エネルギー/力(人や社会の考え方・影響力、経済的などの力を含む)
    • 会員が取引を申告することを奨励するインセンティヴを設ける
  4. 物質
    • 取引を申告した時に交換所から会員になんらかの贈り物をする
  5. 情報
    • 会員の財務状況の情報があれば会員が行う取引の量を推測できるかもしれない
  6. モノや要素(人、社会的、経済的などの)を変化させて利用可能にする
    • 会員が闇取引を行わないように、取引内容を交換所に申告することが会員にとって新しい意味を持つように変化させる

4.2. 構造の資源

  • 構造を変化させることによって状況が好転することがあります
  • 下にリストされているのは構造を資源として活用するアイデアを得るのに有効な発明原理です。Step 2.2.で考えた着眼点を頭において、現在の(設備、装置、製品、組織、制度などの)構造について発明原理を当てはめます。発明原理一つ一つについてブレーンストーミングを行ってアイデアを探してください
  • 見つかったアイデアは1つ1枚のカードに記入するなどして蓄積してください
    1. 集中
      • 考え方:必要な箇所に物質やエネルギーを集中することを考えます
      • 例:部下を働かせようと常に圧力をかけることを止めて、間欠的に時々、能力一杯に働いてもらうようにする
    2. 逆転
      • 考え方:これまでの構造を(空間、時間その他あらゆる観点から)上下、左右、前後、裏表、大小、長短、などについて逆にすることを考えます
      • 例:百円ショップ。売れるモノを決めて価格をつける仕組みを逆転させて、価格を先に決めてその価格で売れるモノを店に並べる
    3. 分割
      • 考え方:一体になっているものを部分に分けることを考えます。なお、一旦分けてからもう一度組み立て直すことも考えてください。分け方には2つや3つに大きく分ける、細かく分ける、分けられる限界まで分解するなどいろいろな分け方があります
      • 例:(営業などの部門で)スタッフをチームに分けて、チームごとに成績を競わせる。チームのメンバーはお互いに助け合うことになり、人的資源のレベルアップが期待できる
    4. 組み合わせ
      • 考え方:これまで別々のものを1つにまとめます。逆の性格や機能をもったものもの(エアコン)や同種で少しづつ性格のずれたもの(色鉛筆セット)の組み合わせが大きな効果を発揮する場合があります
      • 例:ビジネスのポートフォリオを多様化させて全ビジネス全体として市場の変化によるリスクを最小化する
    5. 仲介
      • 考え方:何かと何かとの間に何かを挟み込むことで、状況を改善したり、悪い影響をさけることを考えます
      • 例:網羅的なチェックリストを使って、重要な視点の見落としを避ける
    6. 模型
      • 考え方:何らかの事情で、課題の対象となっているものに直接触れたり、手を加えたることができないときには対象のコピーや対象に似せた代替品を利用することを考えます
      • 例:設計から住宅のデジタルモデルを作り、外観・内装を様々に変化させて、買い手が完成時の様子をチェックしたり、体感したりできるようにする
      • 例:日頃から模擬訓練を行い災害などの緊急時の備えとする
ケーススタディー

4.2. 構造の資源

  • 構造を変化させることによって状況が好転することがあります
  • 下にリストされているのは構造を資源として活用するアイデアを得るのに有効な発明原理です。Step 2.2.で考えた着眼点を頭において、現在の(設備、装置、製品、組織、制度などの)構造について発明原理を当てはめます。発明原理一つ一つについてブレーンストーミングを行ってアイデアを探してください
    1. 集中
      • 闇取引によって失われている手数料の総額を計算し、その一部を闇取引防止策の原資とする
    2. 逆転
      • 交換所で行うすべての取引の決済を交換所の会員口座間で行うようにする。会員は手数料を支払うことがなくなる(手数料が差し引かれた取引金額が会員の口座に入る)
    3. 分割
      • すべての取引を売りと買いに分割する。会員は商品を売る際は必ず交換所に売り、買う際は必ず交換所から買う。(こうすれば、会員から交換所に手数料を支払うことはなくなる)
      • 手数料の支払いを分割にする(一回の取引に対して多額の手数料を支払う印象が薄れる)
    4. 組み合わせ
      • 会員の手数料の支払いを、会員が歓迎する何か別のモノと組み合わせる
    5. 仲介
      • 交換所は会員に会計処理サービスを提供する。交換所にまかせると便利なので闇取引を考えなくなる
    6. 模型
      • 闇取引のペナルティーの悲惨な影響をストーリーにした映画を作って会員に見せる

Step 5. 方策・矛盾

5.1. 方策案

  • ここまでに出たアイデアを全てチェックしてください。なんらかの共通点を持ったアイデアはグループにまとめてください。(1つのアイデアが複数のグループに入ることもあります)
  • 相互補完的な(異なった長所を持った)アイデアがあったらそれらを組み合わせて方策案にまとめられないか検討してください
  • 似通った機能を実現する2つのアイデアが、お互いに異なった長所(短所)を持っている場合、2つを組み合わせるとしばしば優れた方策案に繋がります
  • 2つのアイデアを組み合わせた時に、有益な機能と同時に有害な作用が生じる場合があります これを矛盾[補足5]と名付けます。矛盾は問題解決のキーポイントです。矛盾を避けようとせずに、むしろStep 5.3.2.で紹介されるアプローチを使って矛盾を解消するアイデアを探すように考えてください
ケーススタディー

5.1. 方策案

  • アイデアのグループ分け
    • 交換所のケーススタディーではここまでに30のアイデアが挙げられてきました
  • ここまでに出たアイデアを全てチェックしてください。なんらかの共通点を持ったアイデアはグループにまとめてください。(1つのアイデアが複数のグループに入ることもあります)
  • 相互補完的な(異なった長所を持った)アイデアがあったらそれらを組み合わせて方策案にまとめられないか検討してください
  • 方策案:
    • 案1.年間の取引金額を会員ごとに集計し、金額の大きい会員には報奨金を支払う
    • 案2.会員に会計処理サービスを提供する。そこで得られたデータを使って会員の取引状況をモニターする

5.2. 矛盾[補足6]の定式化

  • Step 5.2.、Step 5.3.1.Step 5.3.2.はTRIZの最大の特徴と言える「矛盾」に焦点を当てるステップです。取り組んでいる状況をアイデアを考えやすい形に表現し直す作業をしてから、解決策を探します
  • 矛盾の定式化[補足7]をします。ここまでに考えてきた対象の表現を変えて矛盾の構造が分かりやすいようにします:
    • 以下の形に合わせて矛盾を表現する文章を作ってください
    • 〈〜A〜〉を使って、当初の状況を、〈〜B〜〉のように変化させると、〈〜C〜〉という観点で有益だ[補足8]が、〈〜D〜〉という観点では有害だ[補足9]
    • 摘要:矛盾を表現する文章のA〜Dには次の内容を入れてください
      1. は当初の状況を変化させるために用いるモノ(任意)
      2. は当初の状況をどのように変化させるか(必須)
      3. は変化に伴う肯定的な影響(必須)
      4. は変化に伴う否定的な影響(必須)
  • できた文章を読んでここまでのアイデアの有望さを判定します。有望なアイデアについては以下のどれか1つ以上の方針を選んで作業を続けます
    1. できた文章を当初の状況と捉え直してStep 1.1.からの作業を繰り返す
    2. できた文章に発明原理 (Step 3.) や資源 (Step 4.) を当てはめてアイデアを更に改良する
    3. 矛盾を更に掘り下げる (Step 5.3.1.)
ケーススタディー

5.2. 矛盾の定式化

  • 矛盾の定式化をします。ここまでに考えてきた対象の表現を変えて矛盾の構造が分かりやすいようにします:
    • 以下の形に合わせて矛盾を表現する文章を作ってください
    • 〈〜A〜〉を使って、当初の状況を、〈〜B〜〉のように変化させると、〈〜C〜〉という観点で有益だが、〈〜D〜〉という観点では有害だ」
  • できた文章を読んでここまでのアイデアの有望さを判定します
    • 案1.
      • 「当初の状況を〈年間の取引金額を会員ごとに集計し、金額の大きい会員には報奨金を支払う〉ように変化させると、〈報奨金を期待できる会員は取引を申告する〉という観点で有益だが、〈取引量が少なく、報奨金が期待できない会員には申告することにインセンティブが生じない〉という観点では有害だ」
      • 判断:有効性が期待できる、ただし、欠点もあるので更に改良する必要がある
    • 案2.
      • 「当初の状況を〈会員に会計処理サービスを提供する。そこで得られたデータを使って会員の取引状況をモニターする〉ように変化させると、〈交換所にとっては良い効果が期待される〉という観点で有益だが、〈会員がこのサービスを使わなければ効果が出ない〉という観点では有害だ」
      • 判断:良い結果がでる保証がないので方策案としての優先度は低い

5.3.1. 矛盾の掘り下げ

  • このステップはStep 5.2.で行った定式化で明らかになった欠陥を取り除くためのステップです
  • 矛盾の本質が浮き彫りになるように、文章の表現をもう一度変化させます。形にあわせて不自然な文章を作る作業ですが、難しい問題と取り組む際には特に大切なステップです
  • Step 5.2.で定式化した矛盾を以下の形に合わせて、もう一度定式化してください:
    1. 〈有益機能〉を得るためには、〈主語〉〈述語=ある作用を行う、またはある状態である〉なくてはならない
    • 同時に
    1. 〈有害機能〉を避けるためには、〈主語〉〈述語=ある作用を行う、またはある状態である〉あってはならない

注:上のI. II.の文章を作る際のルール

  1. ルール1:上のI.とII.の2つの文章は必ず2つセットで作ります。そのさい2つの文章の主語述語はどちらの文章にも共通する同じ内容でなくてはなりません。
  2. ルール2:有益機能有害機能主語述語はStep 5.2.で定式化した矛盾の内容から読み取る必要があります。ケーススタディーの例を参考にしてください。わからない場合は、I.とII.の形に合わせて文章をいくつか作って比べてください。この場合にもルール1を守る必要があります
ケーススタディー

5.3.1. 矛盾の掘り下げ

  • Step 5.2.による矛盾の定式化
    • 当初の状況を〈年間の取引金額を会員ごとに集計し、金額の大きい会員には報奨金を支払う〉ように変化させると、
      • 〈報奨金を期待できる会員は取引を申告する〉という観点で有益だが、
      • 〈取引量が少なく、報奨金が期待できない会員には申告することにインセンティブが生じない〉という観点では有害だ
  • 矛盾の掘り下げ
    • 〈会員は取引を申告する〉を得るためには、〈報奨金〉〈取引金額に応じて支払われる〉なくてはならない
    • 同時に
    • 〈報奨金が期待できない会員には申告することにインセンティブが生じない〉を避けるためには、〈報奨金〉〈取引金額に応じて支払われる〉あってはならない

5.3.2. 矛盾の解決

  • 矛盾の解決は課題を達成する第3の道筋です。(Step 2.2. 参照)
    • Step 5.3.1.で矛盾を掘り下げた結果としてシステムはお互いに矛盾する2つ要請を満足させなくてはならないことが分かりました。この矛盾を解決するためには、まず与えられたの状況を2つの異なる状態に分けて捉えることを考えます。つぎに、システムに求められている2つの要請を2つの異なる状態がそれぞれ満足させるようにします
  • 2つの状態を発見するために次にあげる4つの切り口を利用します。いずれかの切り口で2つの状態を作り出して、アイデアを改良してください
    1. 空間の観点で2つに分ける
      • 考え方:システムに関係する空間を2つに分けて、システムに求められる2つの両立しない要請を2つの異なる空間がそれぞれ満足させるようにします
      • 例:消費財の販売者は、地域ごとの消費者のニーズに合わせて店に並べる品えを変え、地域ごとに売れる品物だけを店に置いて、在庫があるのに売れないという事態が生じないようにしています
    2. 時間の観点で2つに分ける
      • 考え方:システムに関係する時間を2つ(の時間帯)に分けて、システムに求められる2つの両立しない要請を2つの異なる時間(帯)がそれぞれ満足させるようにします
      • 例:レストランのメニューは時間帯によって変わります(朝食、昼食、夕食のメニュー)。時間帯ごとに需要のある料理でメニューを作り、準備しているのに売れない料理(材料)が生じないようにします
    3. 構造の観点で2つに分ける
      • 考え方:システム、あるいはシステムが置かれている状況を構造の観点から2つ(2つの部分、あるいは、システム全体とその一部、中身と表面、形と内容など)に分けて、システムに求められている2つの要請を構造として分けた2つが片方ずつ担当して満足させるようにします
      • 例:大きな会社は事業部門を、事業(本)部やオペレーションに分割しています。こうすることによって全体の事業体としての規模を保ちながら事業推進の発想としては大会社になりすぎないように試みています
    4. その他の条件に基づいて2つに分ける
      • 考え方:温度の違い、色の違い、匂いの違い、契約条件の違い、順序の違いそのほか、なんらかの条件を探して状況を2つに区別して、システムに求められる矛盾した要請を区別したそれぞれで満足させるようにします
      • 例:仕事の内容や、個人の事情に合わせて、同じ会社でも複数の雇用(契約)形態の人々が一緒に働いていることが普通になりました
ケーススタディー

採用された解決策(実例)

  • 構造の観点で分ける
    • 商品交換所は会員にくじ引きのチケットを渡すことにしました
    • 商品交換所で規定の最低額以上の取引を行ったすべての会員がチケットを受け取ることができます
    • 定められた期間の間に交換所で行った取引金額に比例して受け取れるチケットの枚数が増えてゆきます
  • チケットの枚数は取引金額に対応しています
  • くじ引きの結果として受け取れる金額(報奨金に代わるもの)は取引金額に対応していません(もちろん、規定の最低金額以上の取引を行った場合に限られます)

5.4. 解決策に含まれる付随的な問題

  • どのような優れた解決策も、(コストが高い、手間がかかる、品質を維持することが難しいなどを含めて)多かれ少なかれ都合の悪い影響を伴うものです
  • 極めて優れたイアデアがこうした不都合を理由に採用されずに終わることは珍しくありません
  • 優れた方策に何らかの不都合が付随するケースはStep 5.1.で触れた矛盾に他なりません。Step 5.2.5.3.2.を繰り返してその矛盾を解決してください
  • 難しい問題が単純な1つの方策によって解決されることはむしろ例外と言えます。解決策に付随する矛盾を解決する作業を繰り返して、残った不都合が許容可能な水準になるように解決策を改良してください

Step 6. アクションプラン

6.1. アクションプラン

  • 設定した成功基準(Step 1.3.参照)を最もよく満足する方策案を選びます
  • 方策案を実現する上で障害となることをすべてリストアップします
  • リストアップされたすべての障害の一つ一つについて、克服するために必要な手段・措置(何をしなくてはならないか)挙げます
  • 明らかにした必要な手段・措置を行うのに現実的に必要な時間を計算します。(一つの措置が済んでからでないと次の措置に着手できないなどの場合は、実際に必要となる長い方の時間を選びます)
  • はじめにリストアップした障害を取り除く手段・措置を早く終わる方から順番に並べなおします
  • 選んだ方策案を実現するアクションプランが出来上がります

下にアクションプラン作りに活用するワークシートのもっとも簡単な例を示します

アクションプラン・ワークシート

方策案:
方策を実現するために克服しなくてはならない障害障害を取り除くために必要な処置や手段必要な処置や手段を行うために必要な期間・時間(累計——注)障害への対処が完了する順序
……………………

注:ある障害(A)を取り除かないと他の障害(B)を取り除けない場合には、(A)を解決してから(B)を解決するために必要な累計期間・時間を記入します

補足説明

  1. 1.発明原理
    TRIZの可能性を全面的に活用するには、発明原理より後に作られた「システムの進化のパターン」(「技術システム進化の法則」あるいは「進化のトレンド」と呼ばれることもあります)を使います。
    システムの進化のパターンはシステムが発展してきた歴史に観測される様々な傾向を体系的に整理したものです。
  2. 2.課題達成の道筋
    1.良くしたいところを良くする、2.困ったところを取り除く、3.何かを良くすると何かが悪くなるというという状態を解消する。以上3つの道があります。
    なお、この手順では上の3.のような状態を「矛盾」というタームで表現します。
  3. 3.有益機能
    有益機能はこの手順で使うタームの1つです。課題を達成する立場から見て必要あるいは都合の良い機能(働き、作用、影響など)を広く指します。
  4. 4.有害機能
    有害機能はこの手順で使うタームの1つです。課題を達成する立場から見て回避・排除するか軽減したい都合の悪い作用や影響を広く指します。
  5. 5.矛盾
    TRIZのタームの1つです。良い結果を得るためにあることをすると、それに伴って都合の悪い別の作用が起きてしまう状態を指します。
  6. 6.矛盾2
    以前にも触れましたが、TRIZでは何かを良くすると別の何かが悪くなるという状態を「矛盾」というタームで表現します。
  7. 7.矛盾の定式化
    TRIZでは、次のステップで考える準備として、課題として直面している状況を、決められた様式に沿って、文章で表現する作業を利用することがあります。この作業を定式化と呼んでいます。
  8. 8.有益
    「課題を達成することに役立つ」という意味です。
  9. 9.有害
    「都合の悪い作用や影響がある」という意味です。

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